第4話「速報」

 モナミの小隊長任命式目前としたある日、統一国ソレイユでは、近頃発見されたこの第五銀河惑星に接近中の謎の彗星についての会議が行われていた。

「…以上です」
「では随時彗星の観測を怠らぬように」
「はい…隊長、余談ではありますがフルールの同盟国のオーキャルに新しく任務を課せられた隊の頭はフルール出身の女騎士だそうです」
「ほう…その女騎士の名はなんという」
「名はモナミ、年は19とのこと」
「モナミ…名のあがった女騎士はそれだけか」
「はい、以上です」
「そうか」

アージェントは会議室を覆う大きなガラス張りの窓の奥に広がる銀河を見据えながら小さく微笑んだ。

***

「モナミ遅いな…」

モナミの任命式当日、日はすでに落ち茜色の空も次第に夜の色へと変わり始めていた。
式を終えたらすぐ来ると言って式場兼任命国のオーキャルに向かったモナミ。
式終了の時間は疾うに過ぎているのに一向に姿を見せることはなかった。
モナミは今まで約束に遅れてきたり無断で約束をすっぽかすことなど一度もなかったためか、ベルは急に不安な気持ちで埋め尽くされていった。
それからまた一時間程待ったがモナミは現れなかった。
ベルは不安な気持ちを抱いたまま帰途につく途中、街の広場にある大きなテレビモニターから速報が流れた。

『…繰り返します、数時間前、同盟国オーキャルが謎の彗星によって侵食されました。オーキャルの自国軍、民間、そして訪問していたフルールの軍隊はほぼ壊滅状態で…』

ベルは目を見開いた。