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第6話「作戦開始」

 丁度同じ時、ソレイユでは一人の兵士が慌しく公爵の居る執務室の扉を勢いよく開けた。

「ア、アージェント様!!」
「…どうした、その様に慌てて」
「はい、只今幹部よりフルール同盟国オーキャルが接近中の謎の彗星によって侵食されたとの報告が…」

その知らせにアージェントは書類を読む下を向いた瞼を上げ、耳だけを向けていた姿勢を兵士の方へと向きなおした。

「侵食?確かオーキャルでは本日付で新隊の任命式が行われていたはず…」
「はい、オーキャルの自国軍、民間、そして訪問していたフルールの軍隊は壊滅とのことです」
「そうか…ついに此処まで来たか…」
「はい、恐れていた事がついに…して、どのように…」
「ふふ、そう慌てるな」

アージェントはそういいながらゆっくり立ち上がり、慌てふためく兵士の肩にポンと触れては口端をゆるくあげた笑みを浮かべて自室を出て行った。
長く続く廊下をコツコツと早足の靴音を響かせながら進む途中すれ違った血相を変えながら慌しく駆け回る兵士達はまるで今起きている事の重大さを物語っているようだった。
靴音が止んだ扉の前で二つノックをするとゆっくりと部屋へ入っていった。

「…アージェントか」
「はい、国王…先日お話した事項にご決断を」
「……ああ、総ての指揮はお前に委ねる」
「有難う御座います、では早急に各国へ呼応を開始致します」

それからのアージェントの行動は早く、作戦内容は第五銀河惑星に所属する各部隊へと伝達された。

***

(一刻も早く彗星の妨害を…ソレイユへに行けばあの方がいる…モナミが尊敬し慕っていたあの方が……!)

ベルはモナミとの祝いの待ち合わせのためかベルは珍しく髪を下ろし少し色の明るい服を着ていたが、駆け出し走りながら勢いよく着ている服を破り捨てると下に着ていたいつもの戦闘用の軍事服になり、懐に入れていた紅色のゴムできつく髪を結んだ。
フルールを出てソレイユへと向かおうと息を切らしながら思いを一心に走った。
国王の許可なしには運行は出来ないと立ち入りを防ぐ兵士達を押しのけ搭乗機へと乗りフルールを飛び立った。

「徴兵令、徴兵令、国王軍第一騎士団ベルジュメル、至急国王室に来なさい」

フルール中にけたたましいサイレンとアナウンスが響き渡ったのは、止められなかった兵士達の視界からベルの乗った搭乗機の姿が見えなくなった頃だった。